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Science ED.294

虫の音を言葉として聴く? 日本人の脳と秋の不思議

Why Japanese Ears Hear Autumn Insects as Human Voices

要約ようやくThe story in English

A quirk of language wiring makes the brain's speech center treat the chirps of autumn crickets like spoken words.

Why Japanese Ears Hear Autumn Insects as Human Voices

The same story at several JLPT levels. Tap a level to switch, and all levels are free.

秋あきの夜よる、外そとを歩あるくと、草くさむらからきれいな音おとが聞きこえてきます。スズムシやコオロギの音おとです。

日本にっぽんでは、この音おとを昔むかしから「虫むしの声こえ」と呼よんできました。まるで虫むしが人間にんげんとお話はなししているように感かんじるからです。でも、海外かいがいから来きた人ひとには、ただの「音おと」や「にぎやかなノイズ」に聞きこえることがあります。

どうして日本人にっぽんじんは、虫むしの音おとを「声こえ」として楽たのしむのでしょうか。

第1章: 虫の音を言葉として聞く脳

1970年代に、角田つのだ忠信ただのぶ(つのだ ただのぶ)という医学いがくの先生せんせいが研究けんきゅうをしました。

人間にんげんの脳のうには、左ひだりと右みぎでちがう役目やくめがあります。ふつう、左ひだりの脳のうは「言葉ことば」を理解りかいします。そして、右みぎの脳のうは「音楽おんがく」や「機械きかいの音おと」などを聴ききます。

英語えいごなどを話はなす人ひとは、虫むしの音おとを右みぎの脳のうで聴ききます。音楽おんがくや雑音ざつおんと同おなじように受うけとめているのです。

しかし、日本語にほんごを話はなす人ひとは、虫むしの音おとを左ひだりの脳のうで聴きいていました。言葉ことばを理解りかいする左ひだりの脳のうを使つかうので、虫むしの音おとを「意味いみのある声こえ」のように感かんじているのです。

第2章: 日本語の「母音」と虫の音

なぜ、日本語にほんごを話はなす人ひとは虫むしの音おとを左ひだりの脳のうで聞きくのでしょうか。

その理由りゆうは、日本語にほんごという言葉ことばの仕組しくみにあります。日本語にほんごには、「あ・い・う・え・お」という母音ぼいん(ぼいん)がたくさんあります。日本語にほんごを話はなす人ひとの脳のうは、母音ぼいんを左ひだりの脳のうでしっかり受うけとめます。

スズムシの「リーン、リーン」という音おとは、長ながくのびる母音ぼいんの音おとによく似にています。そのため、日本語にほんごを話はなす人ひとの脳のうは、虫むしの音おとを「言葉ことばの一部いちぶかもしれない」と思おもって左ひだりの脳のうで処理しょりするのです。

風かぜの音おとや、雨あめの音おと、川かわが流ながれる音おとも同おなじです。日本人にっぽんじんは、自然しぜんの音おとを言葉ことばと同おなじように左ひだりの脳のうで聞きいています。

第3章: 子どものときの環境がきめる

この脳のうの働はたらきは、生うまれつきの体からだのちがいではありません。

子こどものとき、9歳くらいまでに日本語にほんごを聞きいて育そだつと、この脳のうになると言いわれています。外国がいこくで生うまれても、小ちいさいうちに日本語にほんごを話はなして育そだてば、虫むしの声こえを左ひだりの脳のうで聞きくようになります。

反対はんたいに、日本人にっぽんじんの子こどもでも、外国がいこく語ごだけで育そだつと、虫むしの音おとを右みぎの脳のうで聴きくようになります。

どんな言葉ことばを話はなして育そだったかによって、脳のうの音おとの聞きき方かたがかわるのです。

第4章: 日本の秋を耳で楽しもう

昔むかしの日本人にっぽんじんは、虫むしの声こえに耳みみをすませて、たくさんの歌うたを作つくりました。鳥とりや虫むしの音おとを人ひとの言葉ことばに当あてはめて聞きく文化ぶんかもあります。

秋あきになったら、ぜひ夜よるの静しずかな公園こうえんや庭にわを歩あるいてみてください。虫むしたちの音おとが、何なにかを話はなしている「声こえ」のように聞きこえてくるかもしれません。

第1章: 秋の夜に響く虫の音

秋あきの夜よる、静しずかな道みちを歩あるくと虫むしの音おとが聞きこえます。
草くさむらから「リーン、リーン」と澄すんだ音おとが響ひびきます。
スズムシなどの昆虫こんちゅうは、左右さゆうの前ぜん羽はねをこすり合あわせて音おとを出だします。
虫むしには声帯せいたいがないので、口くちから声こえを出だしているわけではありません。

しかし、日本にっぽんでは昔むかしからこの音おとを「虫むしの声こえ」と呼よんできました。
ただの物音ものおとではなく、誰だれかが話はなしているように耳みみを傾かたむけてきたのです。
実じつはこの感かんじ方かたには、脳のうの働はたらきが深ふかく関係かんけいしています。

第2章: 虫の音を言葉の脳で受けとめる

人間にんげんの脳のうは、右脳うのうと左脳さのうで得意とくいなことが違ちがいます。
一般いっぱん的てきに、左脳さのうは人間にんげんの言葉ことばを理解りかいします。
いっぽう右脳うのうは、音楽おんがくや機械きかいの音おと、雑音ざつおんを処理しょりします。
この違ちがいについて、東京医科歯科大学とうきょういかしかだいがくの角田つのだ忠信ただのぶ教授きょうじゅが研究けんきゅうを行おこないました。

角田つのだ教授きょうじゅの研究けんきゅうによると、西洋せいようの人ひとは虫むしの音おとを右脳うのうで処理しょりします。
彼かれらにとって虫むしの音おとは、音楽おんがくや環境かんきょうの雑音ざつおんと同おなじ仲間なかまです。
ところが、日本語にほんごを母語ぼごとする人ひとは虫むしの音おとを左脳さのうで受うけとめます。
日本語にほんごで育そだった人ひとの多おおくは、虫むしの音おとを聴きくときに言語げんごの脳のうが働はたらいていました。
つまり、日本人にっぽんじんは虫むしの音おとを人間にんげんの話はなし声ごえと同おなじように聴きいているのです。

第3章: 母音の言語がつくる特別な耳

この聴きき方かたは、生うまれつきの遺伝いでんによるものではありません。
子こどものころにどんな言語げんごを話はなして育そだったかで決きまります。
外国がいこくで外国がいこく語ごを話はなして育そだった日系にっけい人じんは、西洋せいよう人じんと同おなじ右脳うのう型がたになります。
反対はんたいに、ポリネシア諸語しょごを話はなす人々ひとびとも日本人にっぽんじんと同おなじ特徴とくちょうを持もつとされます。

日本語にほんごは、母音ぼいんをとても大切たいせつにする言語げんごです。
長ながく伸のびる虫むしの音おとは、日本語にほんごの母音ぼいんの響ひびきによく似にています。
そのため日本語にほんごを話はなす脳のうは、虫むしの音おとを言葉ことばの一部いちぶだと判断はんだんします。
また、日本語にほんごには「チンチロリン」のような擬音ぎおん語ごがたくさんあります。
自然しぜんの音おとを言葉ことばに当あてはめる文化ぶんかが、左脳さのうで音おとを聴きく習慣しゅうかんを育そだててきたのです。

第4章: 秋の夜に立ち止まって聴く

日本にっぽんに住すんでいるなら、秋あきの夜よるに公園こうえんや街まちの草くさむらを歩あるいてみてください。
虫むしの音おとに慣なれていない人ひとには、ただの背景はいけいの音おとに聞きこえるかもしれません。
しかし、少すこし足あしを止とめて耳みみを澄すましてみましょう。

虫むしたちの鳴なき声ごえが、まるで季節きせつを伝つたえるメッセージのように聞きこえてきます。
昔むかしの人々ひとびとがなぜ虫むしの音おとを歌うたに詠よんだのか、その気持きもちがよくわかります。
日本語にほんごを学まなびながらその音おとを聴きくと、あなたの耳みみも新あたらしい世界せかいを見みつけるはずです。

第1章: 草むらから立ちのぼる秋のささやき

夏なつの厳きびしい暑あつさが引ひき、夕暮ゆうぐれの空気くうきがひんやりと肌はだをなでる季節きせつになると、日本にっぽんの街角まちかどや庭先にわさきでは一斉いっせいに小ちいさな生いき物ものたちの合唱がっしょうが始はじまります。チリンチリンと鈴すずを振ふるように澄すんだ音おとを響ひびかせるスズムシや、コロコロと軽かろやかに転ころがるエンマコオロギの調しらべなど、夜よるの帳とばりが下おりるにつれて草くさむらは豊ゆたかな音おと彩あやに包つつまれます。

生物せいぶつ学的がくてきには、虫むしたちには人間にんげんのような声帯せいたいはなく、口くちから息いきを吐はいて鳴ないているわけではありません。スズムシをはじめとする直ちょく翅類るいの昆虫こんちゅうは、前翅ぜんしを垂直すいちょくに立たてて微細びさいに震ふるわせ、左右さゆうの翅の根元ねもとにあるやすり状じょうの脈みゃくをこすり合あわせることで摩擦音まさつおんを生うみ出だしています。それにもかかわらず、日本語にほんごでは古ふるくからこれらを「虫むしの音おと」のみならず「虫むしの声こえ」と呼よびならわしてきました。まるで虫むしたちが意思いしを持もち、人間にんげんに何なにかを語かたりかけているかのように耳みみを澄すますこの感覚かんかくには、単たんなる文学ぶんがく的てき修辞しゅうじを超こえた、聴覚ちょうかく生理学せいりがく上じょうの確たしかな背景はいけいが存在そんざいします。

第2章: 左脳が紡ぐ「意味」と右脳が捉える「雑音」

人間にんげんが耳みみから取とり込こんだ音おと情報じょうほうは、左右さゆうの脳のうへ分岐ぶんきして処理しょりされます。大脳だいのう生理学せいりがくの基本きほん的てきな知見ちけんによれば、左ひだり耳みみから入はいった信号しんごうは主おもに右脳うのうへ、右みぎ耳みみからの信号しんごうは主おもに左脳さのうへと交差こうさして送おくられます。一般いっぱん的てきに、論理ろんり的てき思考しこうや言語げんご理解りかいを司つかさどるのは「言語げんご脳のう」と呼よばれる左脳さのうであり、一方いっぽうで旋律せんりつや和音わおん、機械きかい音おん、あるいは環境かんきょうの背景はいけい雑音ざつおんといった非ひ言語げんご的てきな音響おんきょうを処理しょりするのは「音楽おんがく脳のう」と呼よばれる右脳うのうです。

1970年代、東京医科歯科大学とうきょういかしかだいがく教授きょうじゅの角田つのだ忠信ただのぶ氏しが発表はっぴょうした研究けんきゅうは、この音響おんきょう処理しょりにおける著いちじるしい差異さいを浮うき彫ぼりにしました。欧米おうべいの諸しょ言語げんごを母語ぼごとする人々ひとびとの多おおくは、虫むしの鳴なき声ごえをバイオリンの音色ねいろや機械きかいの駆動くどう音おんと同様どうように右脳うのうで受容じゅようし、意味いみを持もたない背景はいけい音おん、すなわち環境かんきょうノイズの一種いっしゅとして処理しょりする傾向けいこうが見みられます。そのため、どれほど激はげしく虫むしが鳴なき交かわしていても、意識いしきの焦点しょうてんから外はずれ、知覚ちかくそのものに上のぼらないことすら珍めずらしくありません。

ところが、日本語にほんごを母語ぼごとして育そだった人々ひとびとの脳のうを観察かんさつすると、虫むしの音おとを聴きいた際さいに活性かっせい化かするのは、人間にんげんの話はなし声ごえを理解りかいするときと同おなじ左脳さのうの言語げんご中枢ちゅうすうであることが判明はんめいしました。つまり日本語にほんご話者わしゃは、物理ぶつり的てきには翅の摩擦音まさつおんにすぎない音響おんきょうを、無意識むいしきのうちに人間にんげんの発声はっせいと同様どうようの「意味いみを帯おびた音声おんせい信号しんごう」として受容じゅようしているのです。

第3章: 母音重視の言語体系と幼少期の音響適応

なぜ日本語にほんご話者わしゃの脳のうは、虫むしの鳴なき声ごえを手際てぎわよく言語げんご領域りょういきへと振ふり分わけるのでしょうか。その鍵かぎは、日本語にほんごという言語げんごそのものが持もつ独特どくとくな音響おんきょう構造こうぞうに隠かくされています。

日本語にほんごは子音しいんと母音ぼいんの結むすびつきが極きわめて密接みっせつであり、「あ」「い」「う」「え」「お」といった単独たんどくの持続じぞく母音ぼいんだけでも独立どくりつした意味いみを成なす言葉ことばが無数むすうに存在そんざいします。これに対たいして西洋せいようの言語げんご体系たいけいでは、母音ぼいんは子音しいんに挟はさまれた音節おんせつ構造こうぞうの中なかで機能きのうすることが主おもであり、母音ぼいん単体たんたいはしばしば言語げんご範疇はんちゅうの外そとにある非ひ言語げんご音おんとして右脳うのう優位ゆういで処理しょりされます。角田つのだ氏しの分析ぶんせきによれば、スズムシの「リーン」やマツムシの「チンチロリン」といった虫むしの鳴なき声ごえの周波数しゅうはすうパターンや時間じかん的てき持続じぞくは、日本語にほんごの長ながく引ひき延のばされた母音ぼいんの物理ぶつり的てき特性とくせいと酷似こくじしています。日本語にほんご話者わしゃの脳のうは、持続じぞくする母音ぼいんを「言語げんごの一部いちぶ」として敏感びんかんにすくい取とる訓練くんれんを日常にちじょう的てきに重かさねているため、虫むしの音おとをも自然しぜんと言語げんごのネットワークに組くみ込こんでしまうのです。

極きわめて示唆しさに富とむのは、この現象げんしょうが人種じんしゅや遺伝いでんによる先天的せんてんてきな差異さいではなく、後天的こうてんてきな言語げんご環境かんきょうによって形成けいせいされるという点てんです。日本人にっぽんじんの血ちを引ひいていても外国がいこく語ごを母語ぼごとして育そだった日系にっけい二世にせいや三世さんせいにはこの左脳さのう優位ゆういの反応はんのうは見みられず、逆ぎゃくに非ひ日本人にっぽんじんの血統けっとうであっても、おおむね9歳前後ぜんごまでの幼少ようしょう期きを日本語にほんご環境かんきょうで過すごした人物じんぶつの脳のうは、虫むしの声こえを左脳さのうで捉とらえるようになります。なお、角田つのだ氏しの調査ちょうさによれば、世界せかいでも日本語にほんご話者わしゃのほかにポリネシア諸語しょごを話はなす人々ひとびとに同様どうようの母音ぼいん・自然しぜん音おん受容じゅようパターンが確認かくにんされています。

こうした脳のうの配線はいせんは、日本にっぽん文化ぶんかが育はぐくんできた表現ひょうげんとも見事みごとに調和ちょうわしています。鳥とりや虫むしの鳴なき声ごえを人間にんげんの言葉ことばになぞらえて解釈かいしゃくする「聞ききなし」の風習ふうしゅうや、音おとそのものに意味いみの輪郭りんかくを与あたえる豊ゆたかなオノマトペ(擬音ぎおん語ご・擬態語ぎたいご)の体系たいけいは、自然しぜん界かいの音波おんぱを言語げんご体系たいけいへ翻訳ほんやくする認知にんちの習慣しゅうかんを千年せんねんにわたって支ささえ続つづけてきました。

第4章: 秋の小径で試みたい、新しい耳の澄ませ方

もしあなたが日本語にほんごを学まなんでいる最中さいちゅうであったり、日本にっぽんで秋あきを過すごす機会きかいがあったりするなら、ぜひ夕暮ゆうぐれ時じの公園こうえんや寺社じしゃの参道さんどうで足あしを止とめてみてください。街灯がいとうの足元あしもとや植うえ込こみの奥おくから届とどく細こまやかな震ふるえに、意識いしきして耳みみを傾かたむけてみましょう。

虫むしの音おとを単たんなる環境かんきょう音おんとして聞きき流ながすのではなく、「リーン、リーン」「チン・チロン」といった日本語にほんごの語彙ごいを思おもい浮うかべながら聴きき取とろうと試こころみること自体じたいが、日本語にほんごの母音ぼいん体系たいけいに耳みみを馴染なじませる上質じょうしつなトレーニングになります。かつての歌人かじんたちが虫むしの声こえに季節きせつの移うつろいや哀歓あいかんを重かさね合あわせたように、自然しぜんの音おとを雑音ざつおんとして排除はいじょせず、世界せかいからの語かたりかけとして受うけ止とめる感覚かんかくは、言語げんごの習得しゅうとくを通つうじてあなたの内側うちがわにも静しずかに根ねづいていくはずです。

Sources12

Yominews stories are original Japanese adaptations of credited reporting, written with AI assistance at several JLPT levels and reviewed by a person before they are published. Read the full reporting at the sources above to support the original publishers.

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This story is written at JLPT N4, N3 and N1. Yominews rewrites the same news at several JLPT levels with furigana over the kanji, so you can read it at your level and switch levels with the tabs on the page. Reading is free and needs no account.

Where does this Japanese news story come from?

This is an original Japanese-language adaptation written by Yomimaru for learners, based on reporting from www.muji.net, kojiroo.com, note.com and other outlets. It is not a republished source article; the original reporting is linked in the sources.

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